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名大生の一日

学会に参加してきました

受験生の皆さん、こんにちは。小川高広です。今日は、先日、私が参加した学会について、お伝えします。学会???受験生の皆さんにはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、大学に入ると講義を受けている先生から「来週は学会(大会)に参加します!」とか、先輩から「卒業論文で書いた研究について学会で発表して来た!」などなど、様々な場面で「学会」という言葉が出てきます。

 

皆さんにはあまり馴染みのない学会ですが、先生や大学院生の多くは学会に入会・参加しています。その理由は主に二つあります。一つ目は、大学の先生や大学院生などの研究者が集う学会(大会などと言うこともあります)で、日ごろの研究成果を発表すること、もう一つは学術誌に論文を投稿することです。

まずは、学会の大会について紹介します。この学会(大会)は自身が取り組んできた日頃の研究成果を発表する場です。全国規模の大会なら年に一度開催されることが多いようです。また、他の研究者の発表や講演を聞き、様々な研究について学ぶ場でもあります。参加者は大学の先生をはじめ、企業の研究者や大学院生・学部生などです。学会にもよりますが、一般の市民の方も参加できるものもありますし、高校生が発表できるように、高校生部門を設けている学会もあります。

 

学会(大会)は研究を発表する場と述べましたが、それ以外にも発表できる機会があります。それが学術誌への論文投稿です。学術誌のことを雑誌と呼ぶこともあります。しかし、雑誌と言っても本屋さんで売っている週刊誌やファッション誌ではなく、研究の成果が載せられている雑誌のことを言います。学会誌や学術誌などと呼ばれ、研究している人たちはこの学会誌(学術誌)に自分の研究成果を書いた「論文」が掲載されることを大変重要視しています。

論文は多くの場合、査読されます。これは文字通り、書き上げられた論文について、その分野に精通する研究者である先生方が読み、価値のある研究成果なのか審査します。査読が厳しい学会誌ほど、当然、掲載されることが難しく、書き直し、あるいは研究成果が不十分だとして、掲載が断わられることもあります。その分、掲載された時の喜びは大きくなります。また、論文の掲載によって、自分の研究成果が世の中の人々、特に他の研究者に知ってもらうことができます。「あの人の研究はすごい!」「いい研究をしている」などと評価されます。評価されるということは研究者として、自分の立場が確立され、専門家としての地位が上がることになります。大きな研究成果なら、歴史にその名前が残ります。有名な研究者であるほど、そのような査読が厳しい学会誌に論文がたくさん掲載されていることが多いようです。どの雑誌の査読が厳しいのかはその分野の研究者たちにしかわからないことも多いです。一般的には歴史が長い雑誌ほど厳しいと言われることもありますが、一概には言えない場合もありますので、大学に入ってから先生に聞いてみるのもいいかもしれません。

自然科学系(簡単に言うと理系)や、社会科学・人文科学系(同じく文系)では、論文を書く速度が異なります。もちろん人それぞれで、研究分野によって異なりますが、自然科学では論文をどんどん書いていく研究者が多いようです。科学技術の進歩はめざましく、研究世界の競争は激しくなっています。そのため、最新の研究成果をいち早く論文として学会誌に載せ、世の中に発表していくことが重要となっています。なぜなら、研究成果については、時々もめることがあるからです。特に巨額の利益をもたらす可能性がある製薬や工業分野では特許などの問題も絡み、誰が最初に発見や発明し、いつ発表したのかなどが非常に大事な要素になります。ライバルと競っていて、同じ研究成果が偶然にも同じタイミングで生まれたとしても、ライバルよりも発表が一分でも遅ければ「負け」になります。今までの研究成果が無駄となる訳です。そのため、自然科学系の研究者たちは「スピード」を重視しています。

一方で、社会科学・人文科学では、それほどの競争がない場合が多く、スピードはそれほど重視されません。研究成果を出すまでに時間がかかるケースも多く、ゆっくりじっくり質の高い研究成果を生み出すという感じです(もちろん、自然科学も早いだけではなく、質も求められます)。例えば、歴史を解明する研究などには、よく古文書などの資料が使われると思います。それらを読み解くのには非常に時間がかかります。また、そもそも歴史的な価値のある古文書が必要だとすれば、古文書を手に入れることは容易ではありません。博物館に保管されていれば、見せてもらえるようにお願いし、許可も必要です。その研究の準備も含め、最後に研究成果を論文としてまとめあげるまでには、数年かかるかもしれません。よって、論文の完成は数年に一度ということは珍しいことではありません。私の友人で哲学をやっている人は、理論の構築などで時間を費やすために、次の論文は2年後に出すと言っていました。もちろん、自然科学系でも時間がかかる研究はたくさんあります。ある理系の先生は木の成長を観察する研究をされていますが、木の成長は遅く、十年や二十年で大きな成果は出ません。自然科学系、社会科学・人文系問わず、研究のスピードは分野によって異なります。一概に早い遅いは言えませんが、名古屋大学には様々な分野がありますので、それぞれの分野の特徴を知ることができるのも、名古屋大学の面白いところの一つかなと思います。

 

さて、論文と作文の違いは何でしょうか。作文は読書感想文など主に自分の気持ちを表します。論文は研究でわかったことについて、客観的な事実を書き、自分の考えを述べます。

構成はどの論文も研究を始めたきっかけや研究の目的、研究の方法やその結果、研究の課題や考察、参考文献などとなっています。皆さんが夏休みの自由研究で行ったことを、文章にまとめたものと考えれば、わかりやすいかもしれません。何となくわかりましたか???もしかすると、わかりにくかったかもしれません。それならば、論文を一度見てみてはいかがでしょうか。せっかくなので、論文が掲載されている学会誌を見てみましょう。

学会誌は、通常、高校の図書室には置いていないと思います。しかし、どこの大学でも図書館には必ず置いています。最近では紙媒体ではなく、インターネットを通じて購読できる「電子ジャーナル」もあります。興味のある人はインターネットで公開されている論文を見てみてはいかがでしょうか。「CiNi(サイニー)」や「グーグルスコラー」などで検索ができます。しかし、学会誌は人によって、数秒で読むのが嫌になるかもしれません。なぜなら、長い文章とグラフや数字などが並ぶ「硬い」雰囲気のものだからです。普段から学会誌を読む人たちはもちろん研究者ですので、馴染みのない受験生の皆さんには、もしかするとつまらないと思われるかもしれません。けれども、大学生になるのならば、大学の課題をやる時や卒業論文を書く時に、論文に目を通すことが求められることもあります。論文の読み方や書き方については、名古屋大学の図書館に多くの参考図書がありますので、見てみてくださいね。

 

本題に戻りますが、学会は日本のみならず、世界中にあります。そんなにもあるのか?と思われるかもしれませんが、学会はそれぞれの学問分野・研究分野ごとに存在しています。例えば、私の研究分野である「林業」では日本森林学会や中部森林学会などがあります。関連の学会を含めると林業だけでもかなりの学会があります。そのため、大学の先生などは、いくつもの学会に所属しています。もちろん、学会に所属するには会費を納めないといけません。学会に参加する際には参加費も必要です。学会入会にあたっては、既に入会している人から紹介状が必要とされる場合もあります。一方で、研究者以外の一般市民が入会できる学会もあります。歴史のある学会から、最近できた学会まで様々です。

私が参加した今回の学会(大会)は日本森林学会といいます。この学会の歴史は古く、1914(大正3)年に設立されました。昨年は鹿児島大学、今年は高知大学で開催されました。学会では口頭発表とポスター発表があります。口頭発表では研究成果を学会参加者の前でプレゼンし、質疑応答を行います。ポスター発表は研究成果をA0の用紙に印刷し、それを会場に貼りだして学会参加者に見てもらいます(学会ではポスターの前に立ち、自分の研究について参加者から質問を受け付ける時間が決まっています。私も自分のポスターの前に立ち、他の研究者の方々と交流ができました)。発表の後は、高知市内のホテルで学会主催の懇親会が開催されました。今回は高知ということで、よさこいの披露や高知県知事も来られ、挨拶されました。

学会参加者は受付時にプログラムをもらいますので、それを見ながら、自分の関心や興味のある発表を見に行きます。大きな学会ほど、様々な分野に分かれています。そして、様々な研究発表に触れることができます。

 

受験生の皆さんは、今後、大学に入り、多くの場合は卒業研究を行います。もしかすると、先生によっては、せっかくの研究成果だから、学会で発表してはどうかと勧められることもあるかもしれません。また、大学院に進学すれば、在学中に学会参加の機会や学会準備の手伝いをすることもあるかもしれません。初めての学会では、その様子がわからず、戸惑うこともあるかもしれませんが、大丈夫です。わからないことは先生や先輩たちが教えてくれます。学会ではその分野において、有名な先生に出会えることがあったり、多くの先生方から研究上のアドバイスをもらう機会もあります。様々な研究者と交流することで、今まで気が付かなかった視点から自分の研究を見直すことができ、大変勉強になります。

大学は教育機関であり、研究機関でもあります。特に、名古屋大学はノーベル賞受賞者を多く輩出し、伝統的に「研究」するということを大事にしてきました。そのため、先生も先輩たちも皆さんの研究をサポートしてくれると思います。名古屋大学に入学したら、日頃の大学生活を頑張るとともに、卒業論文などを通じて研究にも取り組み、有意義な学生生活を送ってくださいね。

(写真の紹介 高知大学の様子、ポスター発表会場の様子、自分のポスターの前で、懇親会の様子、高知駅前にある坂本竜馬たちの像)