受験生のための名古屋大学発見サイト

名古屋大学ロゴ

アクセスキャンパスマップNU-Cheersスタッフ募集

Voice

学生からみた授業

佐井くんから見た授業-医師になるまで vol.20

こんにちは。医学部6年になりました佐井です。鶴舞公園はだいぶ葉桜に変わってきましたが、みなさんの周りではいかがでしょうか?今回は、モノを考えたり、身体を動かすには欠かせない神経系について書いていきます。 

 

神経内科

神経内科では、認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、重症筋無力症、脳卒中、てんかん、けいれん、しびれなどの病気を診ます。これらの病気は、刺激を伝える神経細胞の腕が傷ついたり(軸索障害)、神経細胞そのものが壊れたり(変性)することによって発症するものが多いです。

最終的に脳卒中などは画像を見て診断するのですが、ある程度病気の場所を予想しておかなければ、適切な箇所の画像を撮ることすらできませんよね。ではどのようにして、脳から、背骨の中の脊髄を通って、指先まで伸びてきている神経の、どこが傷ついているのかを知るのでしょうか?これには神経学的診察という手法を使います。

 

神経細胞の腕(軸索)は、いわば電気コードのようなもので、どこかが切れるとその先には刺激が伝わらなくなります。ですから、手は動くが、足が動かないという場合には、「肩より下の脊髄が傷ついているのかな?」と考えられるのです。

ところで、脚を組んで膝頭をたたくと、勝手に足が跳ねるという遊びをしたことはありますか?これは足を動かそうと思って動かしているわけではなく、膝蓋腱反射といって神経と筋肉が勝手に起こす現象です。このような現象は肘や手首、足首でも見られ、左右それぞれをたたいていくことで、無意識の反応が正常なのか異常なのかという情報をさらに集めることができます。

また、みなさんも 「右手は左脳が、左手は右脳が動かしている。」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。脳から出た神経は、途中で身体の反対側へ渡って、その先へと伸びていきます。これを交叉といいますが、交叉する場所は神経によって異なっています。例えるなら、筋肉を動かすコード、温度や痛みを伝えるコード、触った感じを伝えるコードと様々なコードがある中で、脳の近くですぐ交叉するものもあれば、背骨から外に出る直前で交叉するものもあるといった感じです。したがって、先ほどの腱反射に加えて、熱いものや冷たいものを触らせたり、ティッシュで顔をなでたり、身体をつねったりして追加で情報を集めることで、より病気の場所を絞り込んでいくことができます。

ハンマーと氷水とティッシュを使って集めた情報だけで、病気の場所を推測していくさまはさながら探偵のようです。 

 

打腱器

上から打腱器(腱反射を調べる)、音叉(振動覚を調べる)、ルーレット式知覚計(痛覚を調べる)

一番下の道具は強く押し付けるとかなり痛いです。

 

MEP

身体に電気を流して、神経の働きを検査します。

 

脳神経外科

脳の手術は頭蓋骨があるためにたどりつくまでが難しいという面がありますが、最近、頭蓋骨があるために、他の臓器と比べて、かえってやりやすくなった手術があります。それがロボット手術です。ロボットは人の手よりも、病変部をより正確に狙えるという点で長けていますが、これが脳の特徴とよくマッチしたのです。というのも、脳は、頭蓋骨にがっちりと固定されているため動くことがありません。そして、当然、頭蓋骨の大きさはそうそう変わるものではありませんから、ものさしとして使うこともできます。手術前にMRIで、「上から30mm、左から20mm、前から50mm」と測っておき、ロボットにプログラムしておくことで、非常に正確な手術ができるようになったのです。

 

もうひとつ、脳の手術で特徴的なものとして、覚醒下手術というものをご紹介しようと思います。脳腫瘍の摘出の際に使われることがある方法で、文字通り患者さんが起きている状態で脳の手術をします。手順としては、まず全身麻酔で眠ってもらって手術を始めますが、頭蓋骨を開けて脳が出たところでいったん患者さんに起きてもらいます。そして、腫瘍を取りきったら、再び眠ってもらって、頭を閉じて手術終了という流れです。

ではなぜ、患者さんにとっては苦しい面もあるこの手術をわざわざ行うのでしょう?これもまた脳ならではの事情があります。胃がんの手術の場合には胃を全部取ってしまうこともありますが、脳の場合そうはいきませんよね。特に、脳腫瘍は運動や言葉を司る領域の近くにできることも多く、腫瘍を取ったら後遺症で麻痺や失語になってしまったという症例もあります。こうした事態を避けるため、手術の途中で患者さんを起こし、絶えず手を振ってもらい、会話を続けてもらいながら進めることで、「ここまでは切っても大丈夫!」と判断することができるのです。

 

まとめ

神経内科でお会いした患者さんは、かなり冷たい氷水を当てても「触っている感じはわかるけど、冷たい感じはない。」とおっしゃっていましたし、覚醒下手術では、脳を削られながら、普段通り患者さんがしゃべってらっしゃって、いつにもまして人って不思議だなと思った実習でした。

 
バックナンバーはこちら

vol.19 消化器外科・消化器内科

vol.18 呼吸器内科・呼吸器外科

vol.17 循環器内科・心臓外科・血管外科