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学生からみた授業

佐井くんから見た授業-医師になるまで vol.17

こんにちは。医学部5年の佐井です。今週は胸部外科ユニットという心臓外科と呼吸器外科をあわせた実習をしています。集合時間は毎朝7:30とかなり早くなかなか大変でした。ということで今回は心臓周辺の科について書いていきます。

 

循環器内科

お医者さんといえば聴診器をイメージする方が多いのではないでしょうか?聴診器は内科医の必需品ですが、特に心肺を診る循環器内科と呼吸器内科のトレードマークだと思います。不整脈では変なリズムの音が聞こえますし、弁膜症で心臓の中の弁の開閉がうまくいかない状態だと変な音が聞こえます。超音波をあててみれば、どこがどのくらい悪いのかがよりはっきりわかりますが、聴診は気軽にできるため異変を見つけるのに今でもよく使われています。

もうひとつ、循環器内科の診察に欠かせないのが心電図です。複数の電極を使って心臓の動きをあらゆる角度から見たものなので、記録を見ればどのあたりにどのような異常が起きているのかを知ることができます。心電図で、冠動脈が細くなる狭心症や、血栓が詰まる心筋梗塞を疑った場合には、造影剤を流して冠動脈を浮かび上がらせた動画を撮影して、どこが細くなっているか、あるいは詰まっているかをはっきりさせ、早急に治療に臨みます。

 

冠動脈の模型

冠動脈の模型(左:前から見たところ 右:左から見たところ) ♡型とはよく言ったものです。

 

冠動脈は心臓自身に栄養を送る血管で、左右に分かれ(写真左)、左はさらに前下行枝と回旋枝という2本に分かれます(写真右)。たった3本しかないのに加えて、それぞれ栄養を送る場所を分担しているので、1本でも細くなると心臓の動きが悪くなります。特に、左前下行枝は全身に血液を送り出す左心室を栄養しているので、ここが詰まると死に至ることもあります。一刻も早く血流を再開させる必要があり、腕や脚の血管からカテーテルを入れて、風船で細くなった血管を広げるPCIという治療は循環器内科の代表的な手技です。

ほかにも高血圧、動脈硬化、心筋症、先天性心疾患などが循環器系の病気としてあげられます。

 

 

心臓外科・血管外科

心筋梗塞の治療としてPCIについて触れましたが、もうひとつ冠動脈バイパス術(CABG)という方法があります。CABGは、胸の血管などと、狭窄部より先の冠動脈をつなぐことで心臓に十分な血流が行くようにする手術で、2012年に天皇陛下が受けられたことで話題になりました。PCIの方が傷が小さく済むので患者さんの負担は小さいのですが、再び詰まることがあります。その点、新たに別のところから血流を持ってくるCABGの方が、開胸手術という負担はあっても、狭窄部より先の心臓の血流はずっと保たれます。血管を切れば出血するので、手術中は人工心肺で体の血流を維持しながら心臓の血を抜き、心臓を一旦とめ、縫い合わせたら再び動かすというのが一般的ですが、最近では道具の進歩により心臓をとめずに、かつ、出血もあまりさせないOPCABという方法も出てきています。

 

血管吻合の練習

血管吻合の練習(管と管を縫い合わせることを「吻合:ふんごう」といいます)

 

さて、冠動脈は細い血管ですが、大動脈などの太い血管にも、大動脈解離という血管の中の壁が剥がれる病気や、大動脈瘤という血管の一部が膨らむ病気などがあります。そして大血管の治療の場合も外科手術とカテーテル治療という2つの選択肢があります。外科手術の場合は上の写真のような人工血管と置き換えます。自分から遠い方にまず糸を通し、両端に付いた針で左右それぞれ手前の方に縫い合わせていきますが、大血管は体の奥の方にあるので見づらく難しいです。もうひとつの、カテーテル治療ではステントグラフトというものを入れます。これは、細い筒を病変部で血管と同じ太さまで膨らませ、その中を血流が通るようにすることで、薄くなった血管壁に圧がかからないようにするものです。

 

ほかにも、生まれつき心臓の奇形がある方の血管をつなぎかえる手術や、心臓の中の弁を取り換える手術などがあります。ちなみに、とある小説で有名になったバチスタ手術ですが、手術成績がよくないため、今ではあまり行われません。

 

まとめ

聴診でわずかな違いを聞き分けたり、心電図で場所を判断したりと循環器内科の先生方のすごさが垣間見える実習でした。一方外科の方では、血管吻合といういわば職人芸を見ているような感じで、なにより心臓を一旦とめるというのが衝撃的でした。


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vol.16 血液内科・化学療法部・輸血部・薬剤部

vol.15 放射線科・検査部・病理部

vol.14 総合診療科・精神科