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学生からみた授業

佐井くんから見た授業-医師になるまで vol.15

こんにちは。医学部5年の佐井です。私たちの実習はすでに始まっていますが、多くの学部生は今週まで夏休みなんですよ!長いですよね(笑)。さて、今回は病気の診断をする上で欠かせない科や部門での実習についてです。

 

病院でいろんな検査をされたことがあるかもしれませんが、そもそも検査ってなんのためにするんでしょう?たとえば、咳をしている人を見たら、「かぜなのかな?」と思うでしょうし、聴診器をあてて、変な音が聞こえたら、「肺炎かな?」と思うわけです。ただ、これだけでは絞り込むには不十分です。ここで血を採ったり、写真を撮ったりといった検査をしてみると、より「その病気」である確率が高まるので、検査が診断に有用であるというわけです。(検査の感度と特異度についてはこちら

もちろん、この検査結果は担当医が読むわけですが、ことに、画像と病理に関しては専門家がいて、たくさんの症例と見比べてより詳細に読んでくれます。

 

 

放射線科

画像を読むことを読影といい、この読影専門の医師は放射線科に属します。X線写真やCT、MRIとたくさんの種類の画像の、全身どこでも見なければなりません。以前は、体を5mmごとに切った断面しか見られなかったCTも、最近ではより薄いスライスで撮ることができるようになり、また撮影にかかる時間も短縮され容易に撮ることができるようになりました。急速な技術の進歩により画像の枚数が増える一方で、まだまだ読影医の数が追い付いていない分野です。

左右について

どんな写真も患者さんと向かい合って立っていると思ってください。

CTやMRIなどの輪切りの画像は、仰向けの人を足元から見るイメージです。

 

放射線科の専門を大きく2つに分けたとき、もうひとつ放射線治療という分野があります。治療にあたって、体内の様子をリアルタイムで透視するために放射線を使う場合と、放射線の威力そのものを使う場合がありますが、後者の中から、がん治療に用いられるIMRTというものについて触れようと思います。

定位放射線治療

がんの放射線治療は、放射線でがん細胞に傷をつけて、がんの塊を小さくするというものですが、放射線を一方向からあてるだけだと、通り道の健康な細胞まで傷つけてしまいます。なので、多方向からあてることで健康な細胞への影響は最小限に、しかし、がん細胞には必要な強さの放射線があたるように、という定位放射線治療が生まれました。その究極がIMRT(強度変調放射線治療)です。

(がんの塊がこんなにとがっているわけはないのですが)四角錐のような塊だった場合、見る角度によって、三角形だったり四角形だったりしますよね?この形にあわせて放射線をあてるのがIMRTです。患者さんのCT画像等から、がんを三次元的にとらえ、それに合わせてどの角度からどういう線量でどんな形の放射線をあてるかというプログラムを作ります。角度が変わるたびに、照射口の形がプログラムに従って、コンピューター制御で変えられ、がんだけを狙い撃つことができるのです。

機械が好きだったり、物理が得意だったりする人には、放射線科が向いているかもしれませんね。

照射機の模型

照射機の模型

 

 

 

検査部 病理部

検査部とひとくくりにいっても、扱う検査は様々で、心電図、呼吸機能、脳波、尿検査、血液検査などたくさんありますが、それぞれの科で書こうと思うので今回は割愛します。検査技師の方々はこれらの機械をひととおり使いこなしていて、かっこよかったです。

病理については以前の記事でも少し触れましたが、今回は臨床の現場において病理が果たす役割について書きましょう。病理診断は、悪そうなところを切って持ってきて、直接見て診断するので最も確実で、治療方針を決める過程のさまざまな場面で用いられます。例えば、大腸にコブがあった場合、内視鏡で見るだけでは良性か悪性かまではわかりません。少し切り取ってきて(生検)、顕微鏡で観察することで診断をつけるのです。手術となった場合、終わってからも、切り取った部分が本当に診断した通りの病気だったのかを調べます。

術前・術後だけでなく、手術中も病理部に検体が届きます。術中迅速病理診断(ドイツ語でゲフリール)というだけあって、手際よく行われます。悪いところが取り切れているか、転移がないかということを調べるために行うのですが、この間手術が止めなくてはならないので迅速に診断するわけです。通常は、1日かけて組織をパラフィン(ろうそくの原料)の中で固めて標本を作るのに対し、ゲフリールでは液体窒素で凍らせて作ります。標本の固定、染色から診断までわずか15分程度。結果を手術室に伝え、取り切れていれば終了へ、取れていなければ追加で切り取るという風に手術は再開されます。

不幸にも、亡くなられた場合、死因を突き止めるために解剖をすることがありますが、それもまた病理医の仕事です。

 

 

まとめ

あまり馴染みのない話だったかもしれませんが、読影や病理の診断は治療方針を決める上で大きな助けとなることから、放射線科医や病理医は"doctor of doctors"(医者の中の医者)とも呼ばれています。質の高い医療を提供するためには欠かせない重要な仕事についての紹介でした。


バックナンバーはこちら

vol.14 総合診療科・精神科

vol.13 救急科・集中治療部・麻酔科

vol.12 EBM・PBL・基本的臨床技能実習