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学生からみた授業

佐井くんから見た授業-医師になるまで vol.14

こんにちは。医学部5年生の佐井です。そろそろセンター試験の出願を始める頃でしょうか?さて、今回は「名大病院の外来で、医師による診察の前に学生が患者さんから予め話を聞く」という実習をする科から2つをご紹介します。 

  

総合診療科 General medicine

消化器、呼吸器、神経などのように臓器別に専門の細分化が進んだ現代医療において、患者さんが抱える様々な問題を総合的に捉えることを専門とする「ジェネラリスト」は、「どこにかかればいいかわからない。」、「いろいろ診てもらったけど原因がわからない。」という難しい病態に答えを出す最後の砦として機能しています。また、患者さんの問題を個別に見るのではなく俯瞰的にとらえ、家族や地域にまで目を向けるという能力は、「かかりつけ医」に必要とされる能力でもあります。高齢化が進む中で、ますます需要が高まっている地域医療の担い手として期待されているのが総合診療科です。

ところで、医療面接ということばを聞いたことはありますか?医師が一方的に質問をするというイメージの問診に代わって、患者中心の医療ということを意識して最近使われるようになった表現です。総合診療科の実習では、この医療面接のスキルを上げることに重きが置かれています。まずは、シナリオを読んでお互いに役を演じ、次は、模擬患者を務めてくださるボランティア相手に、最後に、診察室で実際の患者さん相手に、といった感じです。当然、初対面の人との会話ですので緊張もしますし、どういった言葉をかけるべきかわからず悩むこともあります。なにより、病気を絞り込んでいくための質問をするには、知識が必要だということを実感する実習でした。

面接の様子は録画します

別室でモニターしている様子です。模擬患者との面接は録画して、みんなでビデオを見ながら良かった点、改善点をフィードバックします。

お灸と舌診

中医師(中国における中国医学の国家資格)による漢方の授業もあります。鍼灸や舌の診かたなど西洋医学と異なるところを中心に、考え方や実技を学びます。最近では良さが見直され、積極的に使われている漢方薬もあるんですよ。

 


精神科 Psychiatry

こころを診る精神科が扱う病気は、うつ病、統合失調症、ADHDや摂食障害などがありますが、今回は病気についてではなく、精神科ならではの診察について書いていきます。

まず、特徴として、誰かに連れられてやってくる人が多いというのがあります。家族だったり、職場の人だったりと関係はさまざまですが、2人で受診される方が多いです。というのも、本人が望んで病院に来たわけではないケースがよくあるからです。なので、精神科の診察では、状況を整理するために、初めはひとりずつ診察室に入ってもらって、別々に話を伺い、カルテにも誰が話した内容かがわかるように記載します。病気に対する認識や今困っていることなどは他科でも聞きますが、加えて、出産と成長発達に問題はなかったか、幼少期はどういう性格だったか、通った学校は公立か私立か、一人暮らしはいつからか、転校や転職はあったかなど一見関係なさそうな非常に細かいことまで、本人と付添人のそれぞれから聞き取ります。

今度は、聞いた内容をカルテに記載していくわけですが、その書き方もまた特徴的です。

たとえば、「昨日から38℃の熱が出て、吐き気がひどかったので吐いちゃいました。今朝は水っぽい下痢が出ました。」という患者さんが内科外来に来たら、

昨日より38℃の発熱。嘔気(+)、嘔吐(+)、水様便を認める。

のように書きますが、精神科の場合は、

「どこからともなくわたしの悪口が聞こえてくるんです。」

と言われたら、「幻聴あり。」のようにまとめるのではなく、そのまま書きます。幻視、幻聴や妄想の具体的な内容が、診断や今後の治療方針を決めるうえで大切になってくるからです。

こうして、本人と付添人それぞれの立場から、臨場感たっぷりに書かれたカルテは、さながら芝居の台本のようになっています。

 

 

まとめ

他が簡単というわけではないですが、この2つの科を訪れる患者さんの問題はとりわけ難しく、すぐに答えがでないことも多いです。医療面接では、多面的に病気にアプローチし、全人的な理解をすることが特に重要です。こころとからだはつながっていて、精神的な問題が原因で、身体に症状がでてくることもあるということを知った実習でした。

 


バックナンバーはこちら

vol.13 救急科・集中治療部・麻酔科

vol.12 EBM・PBL・基本的臨床技能実習

vol.11 公衆衛生学・疫学