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学生からみた授業

佐井くんから見た授業-医師になるまで vol.12

こんにちは。医学部5年生の佐井です。今回からは、みなさんが病院にかかった時などに受ける治療の土台となる臨床医学について書いていきます。内科、外科などの各科は4年で講義、5、6年で実習となっていますが、今回は全科に共通する考え方や手技についての講義、実習について紹介していきます。


EBM  evidence-based medicine

EBMは「根拠に基づく医療」と訳されます。治療は、医師個人の経験則や、理論的な予測ではなく、客観的な既知のデータを基に行われるべき、というのがEBMです。世界各国の大学、あるいは市中病院の医師たちが、自分たちの行った治療とその転帰を、症例報告や論文として日々発表しています。たった1件の事例であれば、あまり参考にならないかもしれませんが、たくさんの論文で報告されているような事実は、立派な根拠となります。

講義は、名大から転出され、現在、倉敷の病院(余談ですが、採用試験で、小さい折り鶴を作らせるなどの実技試験を行う珍しい病院です。)で働く先生が担当されています。班ごとに症例が与えられ、関連する英語論文を読み、治療や対応を考えます。私は、「3歳の子が、イスから落ちて軽く頭を打った時に、頭部CTを取るべきか?」という症例について考えました。通常の胸部X線写真などに比べ、CTは被ばく線量が多いので、子どもに対してはできれば避けたい検査です。ということで、「小児に対するCTの影響」についての論文を読み、対応を考えました。

日常の診療で出会う患者さんと、全く同じ状況はなかなかありませんが、似た条件の論文を探し、目の前の患者さんにとっての最善とはなにかということを、探しもとめます。もちろん、急を要する治療の場合は、論文を探している暇などありませんから、ひとまず経験に基づく治療をすることもありえますが、一日ごとに新しくなる医学に取り残されないよう、私たちも知識のアップデートを常に続けていかなければなりません。


PBL  problem-based learning

1人のチューターと10人程度の学生で構成され、学生主体で進められる授業です。1つの症例について2、3コマの時間をかけます。最初に患者情報が与えられ、そこからわかることや、次に行うべき検査などを考えます。段階的に情報が加えられ、その都度、この人の体の中でなにが起こっているのかということについて議論します。某テレビ番組を紙で行う感じですね。ただし、診断をつけるのが目的ではなく、その途中で見極めなければいけない病気や、病気のしくみを考えることに重点が置かれています。

週に1つの症例で、それが1年続きますが、最後の症例は英語で書かれていました。今年の医師国家試験でも空港が舞台の英語問題が出題されましたし、国際化の波を感じています。


基本的臨床技能実習

その名のとおり、基本技能を学ぶ実習です。患者さんとお話しする際のコミュニケーションスキルに始まり、カルテの書き方、打診・聴診などの身体診察、縫合、採血、術衣の着方、心電図・胸部X線写真の読み方などを実際に手を動かしながら学習します。ちなみに、縫合は模型相手ですが、採血はお互いの腕を刺します。もちろん、身体診察もお互いの体で練習します。

4年生のうちは初めてということもあり、ぎこちなさが残りますが、OSCEという試験を経て5年生になり、病棟で実際の患者さんと接していると、未熟ではあるものの、少しは成長したのかなとも思います。ただ、まだまだ、形を真似しているにすぎず、診察と呼べるようになるまでにはさらなる修練が必要ですね。

 

結び目を作るところ

結び目を作るところ

 

できあがり

できあがり


まとめ

今回紹介したのは臨床医学全般に通じる話でした。受け身の講義ではなく、学生が積極的に行動するところが、他の講義とは違うところでしょうか?やはり、手を動かすのは面白いですね。次回からは各科の講義や実習を通して、それぞれの特徴を伝えていけたらと思います。


バックナンバーはこちら

vol.11 公衆衛生学・疫学

vol.10 基礎医学セミナー(研究室配属)

vol.9 発生学・腫瘍学・生化学・分子生物学・遺伝学