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学生からみた授業

廣瀬くんから見た授業-大学で学ぶ数学(集合・論理・写像編)

皆さんこんにちは!理学部数理学科3年の廣瀬です。大学での数学についての記事も今回で3回目となりました。思い返すと入学当初は、高校までと比べて講義の進度が比べ物にならないくらい早く、また講義内で演習の時間はあまり設けられていないので、その分、計算など自分でできる勉強は課外にやらねばならず、こんなペースで4年間数学を勉強していけるのだろうかと不安になり、当初から決めていた数理学科への進級の決意が若干揺らぐ時期もありました。しかし、しっかりと身に付く勉強法やペースを(いまだに未完成ながらも)自分なりに身に付けることができ、今では数学の面白さを皆さんに伝える記事を書くようになりました。私もまだまだこれから学ぶことはたくさんあります。皆さんと一緒に日々学んでいきたいと思います。

 

さて今回は論理や集合、写像という分野を紹介していきたいと思います。これらの分野はそれ自体が興味深い研究対象となっているというより、他分野での学びの基礎として求められる分野です。内容自体は高校までで学んだことの深化と抽象化に過ぎないので、講義を理解すること自体はほかの分野に比べて難しくはないと思います。しかし、学年が上がるにつれ、講義の板書や教科書において、自明のことのように定理の証明などで集合論や写像の性質が頻用されるので、体に染みつくくらいの演習が求められます。

高校の数学1では、命題が真や偽であるとはどういうことか、また、ある命題「p⇒q」の逆や裏、対偶というものの作り方と、対偶は元の命題の真偽と一致する、ということを学んだと思います。さらに集合とは要素の集まりのことで、集合の包含関係(一方が他方を含む、含まれるという関係)を、具体例を学びながら学習したと思います。ここで、なぜ集合と論理(命題の真偽についての分野)を同時に学ぶのかというと、命題「p⇒q」とは、集合と同一視できるからです。つまり、「p⇒q」が真であるということは、仮定pを満たすもの(数でもそれ以外でもなんでもいいです)全体の集合A、結論qを満たすもの全体の集合Bとすると、A⊆Bであることと同値であるということです。以上から、論理を学ぼうと思えば、まず集合について深く学ぶ必要があります。

集合を理解することでさらに良いことがあり、それは写像の理解にもつながります。写像とは、ある集合(これを定義域といいます)の元に、またある集合(これを値域といいます。値域は定義域と同じ集合でも違う集合でもかまいません)の元を1つ対応させる規則のことを言います。写像はあまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、関数は中学校以来何度も聞いたことのある言葉だと思います。関数とは値域が実数となる写像です。つまり、写像の特別なものが関数と呼ばれているのです。高校まででは関数でない写像を扱うことはほとんどありませんが、大学においては実数以外にも、あらゆるものを対象とした理論を作り上げていくので、関数だけでなく写像について理解を深める必要があります。写像の概念で重要なものは、単射と全射です。単射とは、定義域から異なった元をとると行きつく先は必ず異なる性質のことで、全射とは値域の全ての元は、定義域のある元に対応しているという性質です。ここで、関数において例を考えると、f(x)=3xの時、xの値(すなわち定義域からとってきた値)が異なるとf(x)の値(すなわちxに対応する値域の値)は必ず異なるので単射であり、さらにxの値をどんどん無限に大きく(小さく)するとf(x)の値は無限に大きく(小さく)なる、つまり、定義域からとってくる値を適当に変えるとそこから行き着く先は実数全体を覆う、つまり値域が実数全体となるので全射です。全射かつ単射の写像を全単射といい、これは定義域、値域の元を全て1対1に対応付けるよい性質をもった写像です。その他、全射であるが単射でない関数としてf(x)=x3+x(値域は実数全体だがf(-1)=f(1)=0となり単射でない)、単射であるが全射でない関数としてf(x)=2x(a≠bならば必ずf(a)≠f(b)なので単射だが、xをどんなに小さくとってもf(x)は絶対に0未満にはならないので全射でない)などが上げられます。

 

以上のような事柄は、数理学科では2年次で本格的に系統立てて習いますが、1年次の講義でも、簡単に紹介を挟みつつ定理の証明などで使われることもあります。受験においてはこれらの範囲はあまり問題として問われることは少なく、また他の分野の前提知識となっていることもあまりないので、そこまで詰めて学習している人も多くはないとは思いますが、大学で数学を学ぶにあたっては、全ての基礎になっているといっても過言ではないこの範囲を高校の間からしっかりやっておくと、大学に入ってからの講義がよりわかりやすくなると思います。高校の数学1で集合や命題を勉強した人なら、これらの分野の大学生が読むレベルの参考書でも十分読めると思うので、もし興味がわいたなら、是非手に取ってほしいと思います。

今回はこのあたりにしたいと思います。次回も数学についての記事を書いていきたいと思います。