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渡具知 萌絵

文学部卒業生(2017.4現在)
出身地: 沖縄県

2016/11/11

大学院情報学研究科 グローバルメディア論講座進学説明会

共同通信 五井憲子氏今日は、名古屋大学大学院情報学研究科 グローバルメディア論講座進学説明会に参加してきました。今回の説明会ではまず、「国際報道の現場」と題して五井憲子さん(共同通信社総務局人事グループ担当部長)による講演が行われました。

 

1.通信社とは

「通信社」と聞いても、イメージがつきにくいのではないでしょうか。通信社の役割は、独自に取材したニュースを新聞社や放送局、IT企業などの"企業向け"に配信することです。誤解されがちですが、情報として提供するのではなく、企業がそのまま使える形にして提供しています。例えば放送局だとアナウンサーがそのまま読めるように、ですます体の記事を配信しています。耳で聞いて理解しやすいよう、編集部員がリライトしているのです。また記事だけでなく、写真や動画、グラフィックも配信しています。

 

通信社が必要とされる理由は、新聞の紙面を考えてもらえれば分かります。新聞には、地元のニュースだけでなく、県外や海外のニュース、天気図等さまざまな情報が載っていますよね。特に地方紙にとって、県外・海外のニュースを自分たちで取材するのは大変なことです。そのため、通信社から配信されたニュースを利用しているという訳です。国内の記事はクレジット(執筆者)が付いていないので、通信社が配信した記事だと分からないことも多いですが、実は地方紙の紙面作りに深く関与しています。

 

2.共同通信社とは

第二次世界大戦中の国策通信社であった同盟通信社は、戦争責任でGHQに解体されるのを避けるため自主解散しました。それを受けて1945年11月、全国の新聞社(55社)とNHKが加盟社となり、「広くニュースを普及し民主主義を確立する」という理念のもと、社団法人共同通信社が設立されました。

共同通信社の加盟・契約新聞社が発行する新聞の総発行部数は約2700万部に上ります。この数字は、日本最大の発行部数を誇る読売新聞の約900万部(朝刊)と比較してみると、いかに多くの読者に読まれているかが分かります。

本社は東京都港区にあり、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡に支社、各道府県45都市に支局を置いて、全国を網羅した取材を展開しています。また海外41都市には総支局を設置し、10カ所に通信員を配置しています。2006年からは日本のメディアとして初めて北朝鮮の平壌に支局を開設し、その後もキューバのハバナ、ミャンマーのヤンゴンに支局を開設するなど、世界のニュースを取材しています。

 

3.デジタル分野への挑戦

近年は身近な場所へのニュース配信が多くなり、B to C(Business To Consumer、会社対個人の取引のこと)の性格が強くなっています。皆さんも一度は、駅構内や電車内などにある電子看板で、時事ニュースが流れているところを見かけたことがあるのではないでしょうか。このように液晶ディスプレイ等を使って映像情報を表示する仕組みを「デジタルサイネージ」と言います。

今年8月にはソニーと提携して、文字のニュース原稿を自動で読み上げる「ニュースマネージャー」の実証実験を、渋谷の大型街頭ビジョンで行いました。ニュースマネージャーはCGで生成されたデジタルアナウンサーの表情と連動させて自然な音声発話をする、ニュースの提供に特化したアプリケーションとして開発されたものです。共同通信社はデジタルサイネージ向けニュースコンテンツの価値向上や、その新たな可能性を探り続けています。

 

        五井さん講演会の様子     五井さん講演会の様子2

 

 

講演の後半では「外から日本を見る視点」と題して、五井さんが海外特派員として経験したことをお話してくださいました。

 

<五井さんの略歴>

・1986年 共同通信社入社、仙台支局に配属

・1989年 京都支局

・1992年 外信部に配属

・1995年 ローマ支局長

・2001年 シンガポール支局長

・2007年 シドニー支局長

・2010年 外信部デスク

・2012年 富山支局長

・2014年 編集局ニュースセンター整理部長

 

海外特派員の仕事

◆取材対象地域が広い

  シドニー支局時代はオーストラリア、ニュージーランドのほか、南太平洋諸国が対象。

◆取材事象が広範囲に及ぶ

  事件、事故、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など、ありとあらゆる事象を取材。

◆一定の語学力が必要

  取材対象国の新聞・テレビ・ネット報道をウォッチする。国内と同様、一般市民や要人を取材。

 

現地で助手を一人雇ったりもしましたが、基本的に自分一人で対応し、写真も撮って記事と一緒に送ります。裏返して言えば、一人の裁量でいろんなことができるということですね。

 

主な取材内容

①紛争、テロ、災害

②要人ウォッチ、インタビュー

③旬のトピックス 例)地球温暖化、資源争奪、調査捕鯨

④自分の視点で(連載やエッセイ)

 

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争

ボスニア・ヘルツェコビナ紛争の写真ボスニア・ヘルツェゴビナで1992年から1995年まで続いた内戦のことです。旧ユーゴスラビアから独立したのをきっかけに、分離を目指すセルビア人と、クロアチア人、モスレム人(イスラム教徒)との内戦に突入しました。20万人以上が犠牲になったとされています。

内戦後に現地へ行ってみると、虚無的な、暗いムードが漂っていました。一般庶民にインタビューし、「和解することは可能か」「(内戦前は一般的であった)民族間結婚を今はどう思っているか」について聞きました。すると、宗教が異なる夫の親族と交流がなくなってしまったという人や、違う民族の教え子が精神的におかしくなり、自分を殺しに来たという人がいました。その土地に足を運ばなければ分からなかったことばかりで、戦争が生んだ軋轢を肌で感じました。

 

南太平洋サモアの地震・津波

サモア沖地震の写真地震大国である日本に比べて、サモアの人々は地震に関する知識がありませんでした。そのため2009年に発生したサモア沖地震では、100名以上の命が失われました。心苦しくも、親を亡くした少女に当時の状況や心情を聞き、取材した内容をルポにしてまとめました。

一方、2004年のスマトラ沖地震を受けてJICA(国際協力機構)が避難訓練を行い、そのおかげで命が助かった人もいました。日本の援助がサモアの人々にどれくらい役立ったのか、ということも取材しました。

 

ローマ法王、キューバ訪問

ローマ法王のキューバ訪問の写真1998年1月に故ヨハネ・パウロ2世がキューバを訪問した際、同行取材をしました。カトリック教会は1959年のキューバ革命で反革命派を支持したことから、両者は長らく対立を続けていました。しかしヨハネ・パウロ2世がフィデル・カストロ国家評議会議長(当時)と会談し、「雪解け」が加速しました。今考えると、彼はとても先見の明がある人だったなと思います。このような"歴史の転換点"に立ち会える面白さもありますよ。

 

最後に、ジャーナリストを目指す人へ...

・外から日本を見る面白さ、世界の常識と日本の常識の違いを知ることが必要。

・「何でも見てやろう」型人間、変化する社会の諸相に興味のある人に向いている。

・自分なりの「ものの見方」「ものの考え方」を文章化したい人は、ぜひ記者に。

 

講演の後、グローバルメディア論講座についての説明がありました。

 

名古屋大学は、平成29年4月に文学研究科、国際言語文化研究科、国際開発研究科国際コミュニケーション専攻を統合して、人文学研究科を設置します。それに伴って、国際言語文化研究科のメディアプロフェッショナル講座は、新設される情報学研究科のグローバルメディア論講座へと変わります。情報学研究科に移っても講座内容は大幅には変わらず、中部地方を中心とする国内外の報道機関や主要企業への人材輩出を目指しています。

 

【講座構成】

グローバル化とデジタル化によって急速に変貌するメディア環境を踏まえ、情報の消費者あるいは生産者の観点から、政治学的、社会学的、歴史学的、学際的アプローチによるメディア・コミュニケーション研究を行い、協力企業との連携により、国際社会や地域社会において活躍できる人材を育成する。

 

【教員紹介】

❒中村 登志哉 教授(講座主任)

専門分野: 国際政治学、政治コミュニケーション論、メディア研究

 

❒小川 明子 准教授

専門分野: メディア論、メディア・リテラシー、ローカル・メディア研究

 

❒井原伸浩 准教授

専門分野: メディアと政治(アジアのメディア、アジアコミュニケーション)

 

❒後藤 明史 准教授(情報基盤センター)

専門分野: 教育工学、教育方法学、授業研究

   

(左から後藤先生、井原先生、中村先生、小川先生の順です。ちなみにテレビ報道論などを担当している河村雅隆教授は、今年度いっぱいの勤務になるそうです。)

 

先生方が共通して仰っていたのは、「広い関心を持ち、強い目的意識がある人に来てほしい」ということです。メディア業界に興味のある人、メディア研究をしたい人は、ぜひ受験を考えてみてはどうでしょうか。

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