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河合 優介

工学部化学・生物工学科分子化学工学コース4年生(2017.4現在)
出身地: 愛知県

2017/03/21

3D工房 講義編

全学技術センター理学部装置開発室が主催の「3D工房」の講義編です!講義編では3Dプリンタの仕組みや特色などを紹介します!「実習編」はこちらから!

 

全学技術センター・理学部装置開発室

始めに今回の企画を主催された全学技術センター 理学部装置開発室の組織の紹介がありました。全学技術センターは、名古屋大学での教育・研究活動に必要な装置や技術などを提供するための機関です。大学での研究は世界中の誰もが知らない事を対象に行うため、時に市販の実験器具や、研究室が持っているノウハウだけでは実験が行えない場合があります。そういった際に実験器具の制作を援助したり、難しい実験を支援したりすることが全学技術センターの使命です。今回の企画を手伝われていた理学系の院生によると、学生の研究でも市販の実験器具では実験が行えないため、このセンターの支援を受けて実験器具を自作することがよくあるそうです。

 

また、全学技術センターは研究環境の安全対策や医学系の研究で用いる実験動物の管理の他、その高い技術力を活かしてなんと人工衛星の製作などにも携わっています!

 

3Dプリンタの仕組み

 


 

3Dプリンタは非常に薄い樹脂の層を何層も重ねて立体を成形します。1層の厚さはなんとたったの20µm(1µm = 0.001mm。ちなみに食品保存用のラップフィルムの1枚の厚さは11µmほどです。)であるため、造形物を作るには膨大な数の層を重ねる必要があるため、出力にかかる時間も紙のプリンタと比較すると非常に長くなっています。(今回作成した高さ15mm = 15,000µmの造形物の出力には約3時間かかりました。)多くの3Dプリンタは紫外線を当てると固まる性質を持つ樹脂を用いますが、最近では透明な樹脂や金属など、様々な素材を用いて立体が成形できるようになりつつあります。(金属材料は材料の金属粉を重ねた層にレーザーを当て焼き固めます。)

 

3Dプリンタの特長

3Dプリンタの特長は、複雑な立体が簡単に作成できることです。例えば、エンジンの試作品を作りたい時、金型を製作する従来の方法では、1回の試作に数百~数千万円の費用がかかり、簡単には試作ができませんでしたが、3Dプリンタを用いることで数十万円程度で試作品が制作できます。この程度ならば企業にとっては小さなコストなので、試作品を何個も制作することができ、今まで以上に製品の改良がしやすくなります。また、試作品を製作することで実際の製品の加工法やメンテナンスのしやすさを検討することもできます。下の写真は名古屋大学がかかわった電波望遠鏡の部品の一部を3Dプリンタで試作したものです。このパーツを現場で使われるものと同じように組み立てることで、製造工程や現場で使う際の使いやすさなどを検討することができました。

 

また、従来の金属などのブロックを切削する方法では不可能だった複雑な形の立体を製作できる点も3Dプリンタの特徴の一つです。3Dプリンタを用いることによってネックレスのチェーンのような今まではつなぎ目無しでは作れなかった立体も作成できるようになりました。さらに、3Dプリンタを用いることで内部に空洞を持つ金属部品を生産することもできるようになりました。この部品は内部の空間がクッションのような役割を果たすため、従来の部品よりも90%以上摩耗に強くなることが実験によって示されたので、実用化に向けて研究が進んでいます。このように試作品だけではなく実際の製品も3Dプリンタで生産する研究も行われています

 

 

 

3Dプリンタの課題

しかし、3Dプリンタにはまだまだたくさんの課題があります。その一つにコストの高さがあります。現在理学部装置開発室で稼働している3Dプリンタの1台の価格は400万円もします。さらに通常のプリンタのインクに当たる立体の材料は2.4kgで11万円(1gあたり45円)もかかってしまい、ちょっとした大きさの立体を作るだけで数千~数万円のコストが発生します。さらに、現在の技術では出力する立体の精度もまだまだ発展途上で、0.1mm以下の大きさの形は再現が難しいのが現状です。こういった課題を解決することが3Dプリンタのさらなる普及につながるでしょう。

 

設備見学

続いて理学部装置開発室が所有している設備を見学させていただきました。装置開発室には、µm単位で表面の凹凸を測定できる測定器や正面を鏡のように光を反射できるほど平滑に仕上げながら切削できる機械、さらには高電圧をかけた金属糸により材料を発泡スチロールカッターのように切断できる装置など、高度な技術を支える様々な装置が沢山ありました。中には半世紀近くも現役で稼働している装置もあり、メンテナンスがしっかりと行き届いていることが感じられました。

 

 

こちらが今回の主役、3Dプリンタです。僕は思ったよりも小さく、駆動音もそれほど大きくはないなと思いました。中を覗き込むと、黒い装置が右へ左へとせわしなく移動している下には先ほど設計した立体の形がほぼできていました。完成が楽しみです!

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