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佐井裕紀

医学部医学科6年生(2017.4現在)
出身地: 愛知県

2016/07/13

「ロースクールへ行こう!2016」に行ってきました!

7月13日(水) 15:00-18:30に、アジア法交流館2階アジアコミュニティフォーラムにて開催された「ロースクールへ行こう!2016☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会(名古屋会場)」に行ってきましたので、その模様をお伝えします。

国家試験の中でも難関である司法試験の突破を目標とする法科大学院の生活は一般の大学院とは少々異なるようです。今回は、大学院入試、司法試験に向けどれくらいの準備が必要なのか、そしてそれらを乗り越えて得た法曹の仕事の魅力についてさまざまな立場からのお話を伺うことができました。

当日のスケジュールは以下の通りです。青い文字をクリックすると各記事の場所へ飛びます。

 

  第一部 法科大学院の魅力とは?

   15:00-16:00 菊間千乃弁護士の講演

   16:00-17:00 現役裁判官・検察官・弁護士による法曹の仕事についてのお話

   17:00-18:00 在学生・修了生による法科大学院の紹介

  第二部

   18:00-18:30 法科大学院個別懇談会

 

 

「社会人の法科大学院生活」 菊間千乃 先生

まず、元フジテレビアナウンサーで現在松尾綜合法律事務所所属弁護士の菊間千乃先生による講演では、自己紹介に始まり、法科大学院での生活、司法試験に向けての勉強法、そして法曹を目指す人へのメッセージを語っていただきました。

 

 

法科大学院を目指すまで

菊間先生は初めから弁護士を志していたわけではなかったそうです。幼いころからアナウンサーの仕事に憧れ、大学時代に自身がテレビドラマの影響で骨髄バンクに登録した経験から、「テレビで人の心を動かす仕事がしたい」と強く思うようになり、アナウンサーになる決意を固めました。入社後は朝のニュース番組などに出演する毎日だったのですが、26歳の時に人生観が変わる事故に遭遇します生放送で防災用品の紹介をしていたところ、ビルの5階から転落し腰の骨などを折る全治3ヶ月の重傷を負ったのです。奇跡的に後遺症も全く残らず、ギプスによる固定だけで完治させることができたのですが、「一瞬で人って死ねるんだ。今を一生懸命に生きないと死にきれない。」と思うようになり、一日一日を大切に過ごすようになります

 

そして、復帰後しばらく経った28歳の時に、「自分に付加価値をつけよう!」と思い立ちます。というのも、当時は35歳を過ぎた女子アナはなかなかテレビに出られず、それまでに結婚して退社する方が多かったからです。「テレビの仕事を続けたい」と思って、オンリーワンのアナウンサーを目指し始めたのは、折しも、司法試験の改革や法科大学院の設置が始まろうとしている時期でした。

2005年に法科大学院の2期生として32歳で社会人大学院生となった菊間先生の当初の目的は、「法律に詳しいキャスター」になることでした。しかし、報道という仕事で現場を伝えることはできても、変えることはできないということに疑問を感じ始めます。そんな時、院の先生の「医師は薬や器具がなければ人を救えないが、弁護士は頭と六法、そして気持ちがあれば人を助けられる。」という言葉に出会い、司法試験を目指すようになります。法律を単なる「知識」ではなく、「武器」として使っている弁護士の話を院で間近に聞けたことも決意を固める助けとなりました。

 

 

法科大学院での生活
1:30-4:00 睡眠
4:00-8:00 起床・移動・メイク・本番前打ち合わせ
8:00-10:00 生放送
10:00-15:00 取材 (長くかかるときは途中で切り上げ)
15:30-16:00 移動
16:00-19:30 図書室で自習(その日の授業の予習)
19:30-23:00 授業
23:00-1:30 移動・シャワー・就寝

社会人として仕事をしながらの生活では、とにかく時間が足りなかったそうです。法科大学院の授業は先生が学生一人ひとりに意見を聞いていくので予習が欠かせません。できれば復習もしたいところですが、その余裕すらなく、昼間も院に通っている人との差を少しでも埋めるべく、限られた時間の中で、効率的な勉強を意識して実践していたそうです。

 

1.自分よりもできる人と勉強する!

いつも6人で集まって自主的にゼミを開き、お互いに問題を議論していたそうです。そのうちの5人が司法試験を突破したというのですから驚きです。できる人と勉強することで試験の突破に必要なものが明確に見えてきます。学問的には面白くても、試験の合格だけを考えれば深く掘り下げなくてもいい箇所を見極めることは重要で、「勉強が楽しいと思い始めたら危ない!」という言葉が印象的でした。

 

2.毎回授業後に質問をする!

大宮の学校からお台場に帰るには、授業後すぐに出ないと終電を逃してしまうので、疑問があってもその場では聞けなかったそうです。その代わりに、毎回授業後メールで質問をするという習慣を自分に課すことで、より実りある授業にするよう努力していたそうです。毎回なにかしら質問を考えなければいけないので、自然と授業を集中して聞くようになり、質問することで先生に顔を覚えてもらうことができたとおっしゃっていました。

 

3.一日に複数の科目の勉強をする! 暗記物は早くから始める!

人間の頭は忘れるようにできています。一度にひとつの科目に集中するよりも、いろんな科目を少しずつ継続して学習した方が、記憶に残りやすいものです。そして、記述の方が勉強をしている実感がわくのですが、暗記問題の範囲もかなり広いので、甘く見ず、早くから取り組むべきです。六法を章ごとに切ったものを持ち歩いて、電車の待ち時間などわずかな時間でも条文を読んでいたそうです。

※司法試験は選択肢で答える「短答式」と記述で答える「論文式」があり、短答式で合格点を取らないと論文式の答案を採点してもらえません。ちょうどセンター試験と二次試験みたいですね。

 

4.模試を早くから受けよう!

できなくてもいいから、敵を知るためにも早くから模試を受けましょう。最初に受けた模試が、全科目E判定だったとしてもです。「これがすべてAに変わったとき、私は合格する。」そう思って日々勉強に取り組んだそうです。そして、本当にAに変わったとき、これまで自分がしてきた勉強に対する自信と、自身の成長を実感したとおっしゃっていました。

 

働きながらという時間のない中で、効率を意識して着実に力を伸ばしていった菊間先生ですが、最終的には退職され、一日16時間を勉強に充てたそうです。社会人クラスの先輩50人のうち司法試験に合格したのはわずか2人で、その2人ともが「直前期は休職ないし退職しなければ不可能だった。」という体験談を聞いたことで、仕事を辞める決心がついたそうです。「学部を卒業して法科大学院にすぐ行く人はここまでしなくてもいいけど、社会人で目指そうと思っている人はこのくらいやらなければいけないということを覚えていてほしい。」とのことでした。

 

弁護士になってみて

菊間先生によると、弁護士はバランスがとても良い職業なんだそうです。自由と責任、仕事とプライベート、忙しさと収入など様々な軸があるなかで、何を重要視するかはその人次第です。そしてその基準は「自分の正義感」で決めることができるというのが弁護士の魅力とおっしゃっていました。

そして、違う仕事を経験してから弁護士になったのはとてもよかったと感じているそうです。依頼人にはいろいろな方がいます。また最近では特許関連の案件も多く、理系の知識や知的財産に関する知識が求められることも多くなってきています。「弁護士になるまでに経験してきたことは、すべてが仕事に活かせるので、『今からじゃ遅いかな。』などと臆することなく、目指したいと思ったら、いつからでも挑戦してほしい。働きながら大学院に通うことはとても大変だったけれど、弁護士になって本当によかった。法科大学院に行くかどうかは『自分で決めてください!』」とのことでした。

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現役裁判官・検察官・弁護士による法曹の仕事について

続いて、名古屋大学大学院法学研究科の3人の実務家教員から、それぞれの職種を選んだ理由や仕事の実際について、話していただきました。

 

安田 大二郎 先生 (名古屋地方裁判所判事・名古屋大学大学院法学研究科教授)

安田先生は、はじめは弁護士になろうと思っていたそうです。法曹の中でも仕事のイメージがわきやすいという理由からだったのですが、司法研修所での模擬裁判の経験から、原告・被告あるいは被告人の主張を述べ、尋問などの「かけひき」をする弁護士や検事よりも、彼らの主張を中立の立場で聞く裁判官の方が自分の性に合うと感じ、現在の道に進んだとのことです。

裁判官として、3年に一度の転勤を繰り返し、全国各地で、会社、家事、刑事、民事といった様々な裁判に携わるなかで、事件ごとにどの法律をあてはめていくかを考えるのは、パズルを解くようで面白いものなんだそうです。また、最近だと、裁判員裁判で一般の方とコミュニケーションを取ることが求められる場面も増えてきているそうです。

裁判官としての仕事のやりがいは、双方の和解を得ることだといいます。また、過去に労働裁判で担当した会社の経営者から、「今は法令を遵守して、環境を改善しました!」と声をかけられた時には嬉しくなったとおっしゃっていました。

 

松熊 健 先生 (名古屋高等検察庁検事・名古屋大学大学院法学研究科教授)

警察と検察の違いは、起訴する権利を持つかどうかで、英語でも"a public prosecutor"と言い、「起訴する人」という意味です。そんな検察官の主な仕事は刑事事件の一部始終を見届けることです。例えば、不幸にも亡くなった人を見つけたという報せが入った時は、夜中でも駆けつけ、事件性の有無を判断し、司法解剖が必要と判断した際には解剖に立ち合います。事件の捜査においても、警察官と協力して、捜査対象を選定し、起訴するかどうかを決め、起訴となった際には裁判を進め、有罪ならば罰金や収監の手続きをし、死刑も含めた刑の執行に立ち会います。

一方で、検察官には"a government lawyer"つまり「政府の法律家」としての役割もあるそうです。法務省や内閣法制局といった法案作成に携わる省庁での仕事だったり、途上国での法整備支援・人材育成だったりと検察庁の外での仕事もたくさんあります。

松熊先生にとっての検事という仕事のやりがいは、「自分の信念を貫ける」というところにあるそうです。依頼人の意向に沿わねばならない弁護士と違い、自身で真実を追究できる、そしてなにより起訴するかどうかの権限が一人ひとりの検事に委ねられているところが魅力的なんだとおっしゃっていました。

 

野田 裕之 先生 (小川総合法律特許事務所所属弁護士・名古屋大学大学院法学研究科教授)

テレビドラマ等では法廷で雄弁に語る弁護士像が一般的ですが、野田先生自身の感覚としては、裁判所での仕事は調停も含め、弁護士としての仕事の50%程度を占めるに過ぎず、日常的には、中小企業の顧問弁護士として相談を受けたり、契約書が法的に問題ないかを確認したりする仕事などもしているそうです。裁判に関しても書面を作成することが主な仕事であり、法廷ではそれらの確認作業が中心とのこと。事務所で依頼人から相談を受け、持ち帰って書面を作成し、裁判所に持っていくという生活が、最も自分に向いていたことから弁護士になったとおっしゃっていました。

弁護士の魅力は、組織に縛られないことだそうです。大手事務所では、たくさんの弁護士がいる場合もありますが、一般的には個人経営の弁護士事務所が多く、所属弁護士も少ないためしがらみは少ないといいます。また極論すれば、依頼を断ることもできます。

結局のところ、なにをもって自由とするか、なにが自分にとって一番あっているかを考えて、職種を選べばよいとのことでした。

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在学生・修了生による法科大学院の紹介

高橋祐介教授から、法科大学院の仕組みと入試制度についての説明があった後に、実際に法科大学院を経験した1人の修了生と3人の在学生からお話がありました。

 

法科大学院とは

・法曹養成の中核的機関となる専門職大学院

・法科大学院を修了すると法務博士(専門職)という学位が得られ、5年間に5回まで司法試験を受験できる

・法科大学院を修了せずに司法試験を受ける場合は予備試験が必要

・司法試験の合格率は23% (8,016人の受験者のうち1,850人が合格)

・予備試験の合格率は3.8%と難関 (10,334人の受験者のうち394人が合格 そのうち186人が司法試験合格)

※上記数値は平成27年の試験結果

・中部地区は国公立でも私立でも学費があまりかわらない 奨学金制度もある

 

司法試験合格を目指す法科大学院での生活

授業は少人数制で行われ、一人ひとりが意見を求められる形式です。課題や試験もあり、予習復習が欠かせません。新司法試験になってからは思考力を問われる問題が増えているとのことですが、法科大学院の授業で考えたことが、そのまま答案に活きてくるので授業を上手に活用すべきなんだそうです。名大の法科大学院では、今後実務家として携わった時にも起こり得る状況を想定した質問を教員が投げかけてくれ、また、法律が作られた経緯から考えるため、どんな法律が必要かといったことまで考えられるようになるとのことでした。

修了生と在学生それぞれにお話しいただきましたが、お二人とも、毎日10時間以上は勉強してらっしゃるそうです。「司法試験合格という目標」もモチベーションを保つために不可欠ですが、院生専用自習室の風景も集中力を保つ源になっているとのこと。同じ目標を目指す仲間がいることで、自分も頑張れるとおっしゃっていました。

 

法科大学院入試にむけて

法学部の講義は、専門的な話がかみ砕かれてわかりやすくなっているので、ぜひとも活用すべきとのことです。とはいえ、同級生みんなが法科大学院を目指すわけではなく、むしろ少数派となる場合もあるため、モチベーションの維持は大変かもしれません。そんな時は、法律系サークルや予備校などで仲間を見つけたり、初心に立ち返ったりして勉強に励んだそうです。

法科大学院の受験には、全国共通の適性試験を受ける必要があり、自分が目指す大学院によって受験する範囲も変わってくるので注意が必要です。また、受験には履歴書が必要ですが、この書き方も重要です。単なる事実の羅列ではなく、「その経験を通じてなにを学んだか?」ということを意識して、客観的、そして、論理的に書くことが重要だとおっしゃっていました。一番よい対策は、「他人に読んでもらうこと」で、学生ならば、教員に読んでもらうのがよく、あるいは、普段の自分を知らない人に読んでもらうのも効果的なんだそうです。論理的な文章というのは、理由付けがしっかりしたもののことをいいますが、初めて読んだ人でもわかりやすい文章を心がけて書くべきとのことでした。

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法科大学院個別懇談会

会場の机の配置を少し変え、名古屋地区の法科大学院が各ブースで、訪れた参加者からの質問に対し、個別で答えていました。今回ご参加いただいたのは、愛知大学、金沢大学、名古屋大学、南山大学と、NPO法人ロースクール奨学金ちゅうぶ、以上の団体です。

 

 

全体を通じての感想

漠然としたイメージしかなかった法曹界に対して、具体的なイメージがわいたイベントでした。法科大学院に入るだけでも大変なのに、司法試験はやはりそれでも難しく、また検事や裁判官になるには合格者のなかでも優秀な成績でなければいけないというのは途方もない話に聞こえ、改めて、法曹の仕事に就いている人のすごさを実感しました。

講演者みなさんの話術が巧みで、時間を感じさせることなく会は進行し、会場に集まった法学部生の熱気もあいまって、充実した3時間を過ごすことができました!

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