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名古屋大学特別教授  Ryouji Noyori

野依良治 博士

野依良治

1961年 京都大学工学部工業化学科卒業
1963年 同大学大学院工学研究科工業化学専攻修士課程修了
1963年 京都大学工学部助手
1967年 工学博士(京都大学) 
1968年 名古屋大学理学部助教授
1972年 名古屋大学理学部教授
1979~1991年 同大学化学測定機器センター長(併任)

1992~1996

九州大学有機化学基礎研究センター教授(併任)

1996~2001

文部省学術審議会委員
1996年 名古屋大学大学院理学研究科教授
1997~1999 名古屋大学大学院理学研究科長・理学部長(併任)
1997~1999 有機合成化学協会会長
2000~2003 名古屋大学物質科学国際研究センター長(併任)
2001~2003 文部科学省科学技術・学術審議会委員
2001年 日本学術振興会学術顧問
2002~2003 日本化学会会長
2002~2003 名古屋大学高等研究院長(併任)
2003 名古屋大学特任教授
理化学研究所理事長
2003 名古屋大学特別教授

  

「分子の右と左を作り分ける」

すべてのものの形は二つに分類できる。鏡に映した形(鏡像)がもとの形(実像)と同じものと違うものである。例えば、眼鏡、紅茶茶碗、 椅子などは、その鏡像を仮に取り出して回転すれば実像と重なる。一方、手袋、ワインオープナー、かざぐるまの羽根などの鏡像は実像と一致しない。互いに鏡 像関係にある二つのものは、それらが単独に存在するときには違いがない。しかし、相互作用すると、様子が変わる。例えば、右手同士の握手はしっくりする が、右手と左手では妙な握手になる。この右と左の相違は目に見える世界に限らず、一メートルの十億分の一、すなわちナノメートル単位の分子の世界でもとて も重要である。とくに生命現象や生物現象に関わる医薬や農薬のような分子においては社会問題にも発展することがある。

今から40年前にサリドマイド事件が 起きた。サリドマイドには右左の関係にある分子がある。右型分子は、大変に優れた鎮静剤であるが、その鏡像となる左型分子は催奇性をもつ。市販されたサリ ドマイド薬は右と左5050の混合物であり、これを服用した妊婦から奇形児が生まれるという大惨事となった。この一例からだけでも、分子の右と左を作り 分ける方法、すなわち不斉合成反応が絶対に必要であることがよくわかる。しかし、150年前にパスツールの言にあるように、作り分けには生物の力が必須で あるというのが常識であり、実際に、つい20年程前まで、酵素反応や微生物を使ったバイオテクノロジーに頼って鏡像的に純粋な分子が供給されてきた。酵素 の限界を越え、多種多様な分子の右左を作り分けることができる人工的な不斉合成法の創出は、化学者の夢であり、20世紀最大の重要課題の一つであった。野 依良治氏はその夢を現実のものとしたのである。同氏は、1966年に、世界で初めて「分子触媒による不斉合成反応」の原理を発見し、故平田義正名古屋大学 名誉教授らの御尽力により、1968年に29才の若さで名古屋大学理学部の講座担当助教授に抜擢された。平田先生は世界トップクラスの研究者を続々と輩出 し続け、「名大に有機化学あり」と世界に知らしめた大化学者である。その伝統の上に、野依氏の発見した芽は育まれ、20年、30年たち、それが本質的なも のであることが立証されたのである。

野依法の力量は極めて高く、生理活性物質の合成に次々と革新をもたらした。各省庁は、わが国が科学技術立国としてまた 知的存在感のある国として先導的な立場で国際社会に貢献する上で、野依氏の「分子触媒」は鍵となると早くから認識し、特別の研究支援を行ってきた。平成7 年度からは、ノーベル賞級の科学者を本格的に支援・育成していく文部省・学術審議会の"卓越した研究拠点(COE、センター・オブ・エクセレンス)"の一 つに「名古屋大学分子不斉研究ユニット」を選定し、さらには、その発展型として「物質科学国際研究センター」を創設した。現在、野依良治教授をセンター長 として、有機物質合成、無機物質合成、物質機能、生物機能の四研究部門を組織し、各分野で蓄積された知識・技術を融合し、新しい機能をもつ物質の創製へと 同氏の研究は着々と展開されている。今後のさらなる発展が期待される。