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名古屋大学特別教授  Isamu Akasaki

赤﨑 勇 博士

1952年

京都大学理学部卒業

神戸工業株式会社入社

(現、(株)富士通)

1959年 名古屋大学工学部助手
1964年 名古屋大学工学部講師
1964年

名古屋大学工学博士号取得

名古屋大学工学部助教授

松下電器産業株式会社入社

東京研究所基礎第四研究室長、

同半導体部長を経て

1981年 名古屋大学工学部教授
1992年

名古屋大学停年退職

名城大学教授、名古屋大学名誉教授

2004年 名古屋大学特別教授 

 

青色発光デバイス 実現の原点

窒化物半導体は、世界中の研究者の様々な努力にもかかわらず、高性能青色発光デバイスの実現に不可欠の①高品質単結晶の作製と②その電気伝導(p型およびn型)の制御および①、②に基づく③高品質量子ナノ構造の作製などが不可能でした。

赤 﨑教授はなんとかして、これらの難題を克服し、この材料のもつ"究極"とも言える優れた潜在能力を引き出し、"青色発光デバイス"などの新分野を拓こうと 考えました。1967年、窒化アルミニウム(AIN)の残留線(Reststrahlen)を見出し、同材料の格子振動の角周波数を決定、ついで1973 年、前人未到の"窒化物半導体による、pn接合型高性能青色発光デバイス"への挑戦を開始しました。

しかし、困 難は予想を遙かに越え、試行錯誤の繰り返しでした。1970年代後半、多くの研究者がこの"未到の半導体"の研究から撤退していき、"一人荒野を行く"心 境で赤﨑教授は愚直に窒化ガリウム(GaN)の結晶成長に明け暮れていたある日、きれいな極微小結晶を蛍光顕微鏡の視野に捉え、GaNの大きな可能性を確 信しました。

そして、もう一度、本研究の原点である"結晶成長~ミスマッチの極めて大きい系におけるヘテロエピタキシャル成長"の研究に立ち返ることを決意しました。

 

窒化物半導体の結晶成長におけるブレークスルー

原 子(分子)単位で積み上げるエピタキシャル層の品質(特性)は、結晶の成長法と条件に大きく依存するので成長法の選択は時に死命を制することになります。 赤﨑教授は多くの失敗体験に基づき、窒化物半導体には当時用いられていなかった"有機金属化合物気相成長(MOVPE)法(学術的にはOMVPE法)"を 採ることにしました(1979年)。今日、p型結晶や青色発光デバイスは全て本法で作製されていることから明らかなように、これは極めて重要な decisionでした。このあと、赤﨑教授はかねて招いて頂いた名古屋大学に戻り(1981年)、学生の協力を得て、MOVPE装置の手作りから始めま したが、当初、目立った成果は得られませんでした。あるとき、松下時代、系も成長法も異なるGaInAsP系赤色レーザのヘテロエピタキシャル成長におい て経験した"バッファ層技術"を思い出し、応用することにしました。天野院生らの大奮闘により1985年ついに最適条件を見出し、クラックやピットフリー で無色透明、鏡面の窒化ガリウム(GaN)結晶の成長に成功。高品質窒化物半導体単結晶の創製です。こうして窒化ガリウムが初めてワイドギャップ半導体と しての機能を発現できることになりました。

 

窒化物半導体のp型伝導の発見とpn接合青色発光デバイスの実現

ついで、赤﨑教授らはこの高品質結晶に、それまでの亜鉛にかえてマグネシウムをドープし電子線で活性化することによって窒化物半導体におけるp型伝導を発見(1989年)、同時に、GaN  pn接合型の高性能青色発光ダイオードを世界に先駆けて実現しました。

一 方、同高品質結晶にシリコンをドープすることで、n型伝導率の制御を可能とし(1989年)、さらに1990年この高品質結晶によって室温での紫外線誘導 放出(コヒーレント光)を初めて実現し、pn接合型青色/紫外発光デバイス(LED、LD)に必須の全ての基礎技術を開発しました。

 

窒化物半導体の高品質量子ナノ構造の実現と量子効果の検証

1995 年、高品質量子井戸ダイオードによる電流注入誘導放出に成功、1996年には青紫色LDを初めて実現しました。窒化物系の量子効果については、1991年 に量子サイズ効果、1997年に量子とじ込めシュタルク効果をいずれも世界で初めて検証しています。これらのブレークスルーが世界中の研究者を勇気づけ同 分野の研究開発を急加速させ、窒化物半導体の材料科学の急速な発展と青色発光デバイスの産業化をもたらしました。さらに2000年には、窒化物半導体の分 極効果の制御に成功。それに基づき現在、分極効果のない(小さい)結晶による、より高性能の発光素子の研究が世界中で行われています。

 

赤﨑記念研究館

赤﨑記念研究館屋上青色LED